続・裁判手続のIT化
昨年12月のメルマガで、いよいよ裁判手続のIT化が始まります、とお伝えしました。
実際今年の2月から、ウェブ会議を利用した争点整理の手続が行われており、約半年が経過しました。活用状況と、今後の見通しについてお伝えしたいと思います。
いくつかの裁判所では、Microsoft Teamsを利用して、ウェブ会議の方法で民事裁判の手続が進行しています。緊急事態宣言中は、原則としてすべての裁判期日の指定が取り消されてしまいましたが、宣言終了後、裁判期日があらためて指定されるようになってからもしばらく、まだ人と会うことに心理的な抵抗があったからか、急速にウェブ会議形式が普及したように感じます。
実際体験してみますと、電話会議と異なり顔を見ながらやりとりできる安心感があり、違和感なくスムーズに進行していると思います(コロナの影響で依頼者との打合せにもウェブ会議を利用することが多くなり、ウェブ会議そのものに慣れたということもあるかもしれません)。裁判所も、コミュニケーションミスを避けるために、期日で確認した重要事項や、今後の進行予定などを文字に起こしてくれますので、対面での期日進行よりもむしろ分かりやすいのではないかと思うほどです。
地方の裁判所ではまだウェブ会議が導入されていませんので、早く全国的に普及してもらいたいなと思うところです。
そして、裁判手続におけるウェブ会議の導入は、裁判手続IT化のほんの序章にすぎません。国の掲げる目標は、「①e提出、②e事件管理、③e法廷」であり、今は最もハードルが低いと思われる、③の一部を試験的に行っている状態です。
次は、来年あたりに、①e提出、つまり、書面のオンライン提出が試験的にはじまると言われています。このあたりは、訴訟が提起され、被告が応戦をはじめた後なので、比較的問題は少ないはずです。
さらには、訴訟のオンライン申立てや、訴状のシステム送達といった、訴訟の入り口の部分のIT化についても議論されています。こちらは、なりすまし等の危険性もあり、また大規模なシステム整備の必要があります。政府の目標では、2023年度ということですが、もう少し先になるのではという気がします。