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保証意思を確認する公正証書作成の実務状況

債権法改正により、一定の保証契約について保証人となろうとする者が個人である場合には、保証契約締結日前1か月以内に公正証書で保証意思の確認をする必要があるとされました。

この公正証書の作成は、債権法改正の施行に先立ち、本年3月1日から始まっています。

そこで、現時点での実務の状況をお伝えします。

まず、対象となる保証契約は「事業のために負担した資金等債務を主債務とする保証契約」とされています。

ただし、保証人が、法人である場合や、法人(主債務者)の取締役等や議決権の過半数を有する株主の場合、主債務者が個人の場合には共同経営者や事業に現に従事している配偶者などの場合には、適用除外となり公正証書の作成は不要です。

公正証書を作成する際には、保証予定者本人が公証役場に行き、公証人に対して内容を口授する必要があり、その際には、合理性のある者を除いて第三者を立ち会わせるべきではなく、特に債権者や債務者は立ち会わせてはならないとされています。

公正証書を作成する目的は、保証契約にはリスクがあることを前提に、真に保証意思があるかどうかを確認することですので、公証人からは様々な角度から、保証契約について質問がなされることが予定されています。

その際は、保証リスクの認識や、保証に至った事情が確認されることが予想されます。

また、保証人予定者は、単に「保証する」という意思だけではなく、主債務の内容についても詳細を口授する必要があります。

さらに、法律で事前に情報提供が義務付けられている主債務者の収支状況等の情報を理解しているかも確認されます。

口授に際して、保証予定者が書面を確認しながら行ってよいかどうかは、口授する内容によるとされていますが、最初から最後まで書面を見ながら口授したり、「この書面に書いてあるとおりです」と述べるだけでは口授とはみなされませんので、注意が必要です。

制度の趣旨の通り、保証予定者には保証リスクをきちんと認識し、十分な検討・理解をしてもらった上で、公正証書を作成するということが必要になります。

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