債権回収~逃げ得は許さない!~
前号では債務名義の取得方法について説明しました。
勝訴等して債務名義を取得すれば、自動的にお金を回収できるのでしょうか。
勝訴判決を得れば、国家権力が強制的にお金を回収してくれると思っている(そうであればいいのですが!)方もおられますが、実は、一番大変なのが「回収」なのです。
お金を払えとの判決を取得した場合、相手に財産があれば、差し押さえをして、その財産から強制的にお金を回収することができます。
相手が大企業や、不動産等有する資産家等であれば、回収については特に問題になりません(そもそも、そのような相手は、敗訴すればすぐに支払ってきますので強制執行までいくことはほとんどありません)。
相手が個人である場合、勤務先が判明していれば給与の差押は可能です(ただし、差し押さえができるのは一定額に制限されます)。
相手が法人である場合、店舗等があれば、比較的、回収の手立ては残っています。
しかし、勤務先もわからない、営業店等もないような相手だと、回収には大きな壁が立ちふさがります。
現在は、債務名義があれば、メガバンクを中心とした一定の金融機関は全店照会に応じるようになってきています。
ただ、メガバンクの全店照会で多額の預金がある口座がヒットすることは少なく(そもそもお金を持っていないor差押を免れるために現金化している)、銀行口座からの回収は困難であることが多いです。
そのような場合には、債務名義を取得しても泣き寝入りとなることがあり、弁護士としては悔しい思いをしています。
現在、法制審議会民事執行法部会では、「債務者財産の開示制度の実効性の向上に関する要綱案」の取りまとめが議論されています。
ここでは、債務者の不動産に関する情報を登記所から取得する制度や、債務者の勤務先に関する情報を市町村や日本年金機構等から取得する制度の創設が検討されています。
逃げ得は許されない! そういう制度が創設されればいいと思っています。