内部通報窓口を設置しましょう。
「ハラスメントの相談を受けた上司が、『内々で解決するように』と当事者双方に指示をしただけで、その後の対応を放置していた」
「社内の不正行為を告発する文書が匿名で繰り返し届いているが、具体的な事実の記載がないので対応に困っている」
近頃、このようなご相談をよくお受けします。
こういったトラブルの背景にあるのは、社内の相談窓口がきちんと決められていなかったり、あるいは決めただけで一部の人にしか知らされていなかったりということです。
会社としては、ネガティブな情報が寄せられると、調査をした上で適切な対応をとらなければならず、これにはかなりの労力を必要とします。
しかしだからといって、情報が集まらないようでは、適正な経営はできませんから、できるだけ相談窓口に情報が入り、きちんとした調査ができるようにしておく必要があります。
そのためには、相談窓口を決めるだけではなく、そのことを社内に徹底して周知することが必要です。
そして、従業員がそこに相談しやすいような工夫をしなければなりません。
たとえば、
- 朝礼や定例会などで定期的に窓口の存在を知らせる
- 事業所や休憩室などの見やすい場所に掲示しておく
- 相談の秘密は守られることや、相談をしたことで不利益な扱いをしないこともあわせて周知する
などが有効です。
そして、いざ相談が寄せられたら、情報管理に留意し、相談者の意向も踏まえつつ、調査を行い、その経過を相談者にフィードバックすることで、相談窓口への信頼性を高めていくことになります。
会社の規模が小さくてこのような窓口を準備できない、社内では情報管理が難しい、などの場合は、外部の弁護士などに窓口を委託することも検討してみてください。
その場合は、会社との利益相反を避けるため、顧問弁護士とは別の法律事務所を選ぶ方がよいでしょう。