裁判は、証拠が全て。
裁判所は、証拠に基づいて事実を認定します。
怪しい、嫌いだという理由では裁判に勝つことはできません。
日頃から証拠を残す習慣をつけましょう。
弁護士として聞きたくない言葉の一つに、裁判の途中にクライアントから「私たちの負けなんですね」と言われることがあります。
大きく二つの場合があります。
一つ目は、そもそも、クライアントの要求に無理がある場合です。
この場合は、事前に弁護士が正しい見通しを伝えて、十分な理解をしてもらっていたかということが問題になりますが、勝ち負けというよりも、勝つことがもともと見込めない案件です。
二つ目は、クライアントの話しているストーリーからすると勝たないといけないのに、勝てない場合があります。
証拠がない場合です。
裁判所は、事実を確認して、法律に当てはめて、勝ち負けを決める(判決)のですが、事実を確認するとき、当事者の言い分のどちらを採用するか決めないといけません。
お金を貸した、借りていないとか、お金を返した、返してもらっていないなどというのが典型例ですね。
裁判所は、一方の人は人相が悪いとか、態度がなってないとか、弁護士が嘘をついてそうだという理由では判断しません。
そのようなことが認められると、裁判官が好き勝手に決められることになるので、あなたは気に入らないから負け!というようなことが起こってしまうからです。
裁判官の価値観で結果が変わる裁判所には行きたくないですよね。
そこで、事実の認定はあくまでも証拠によることとされています。
先ほどの金銭の貸し借りの例でいうと、契約書や、領収書になります。
ところが、クライアントからは「まさかこんなことになるとは思っていなかったので書類はないです」という言葉が来るのです。
どんな優秀な弁護士も、これではお手上げです。
もし揉めたときは、証拠が全てだということを決して忘れずに、書類はきちんと残す習慣をつけるよう心がけてください。
人間は忘れる生き物です。
人間は変わる生き物です。
人間は間違う生き物です。
お互いの勘違いや、記憶の変容からくるトラブルを防ぐためにも、こまめに証拠を残す習慣を身につけましょう。