社長の暴走を防ぐ
社長の暴走で会社が混乱することはよくみられました。
山口銀行の代表取締役は、先日、解任されました。
中小企業では、社長自身が自律することも大切です。
昔々、三越(当時)の岡田さんという社長(法律で言うと代表取締役)が、愛人に入れあげて、会社のお金を取引を装って愛人に流したり、自宅の改修費用を会社に負担させたりした例があります。岡田さんは、後に特別背任罪で逮捕されることになるのですが、あまりの暴走ぶりが目に余ったため、取締役会で代表取締役を解任されることになりました。最近も、山口フィナンシャルグループ(子会社に山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行などがあります)の吉村会長が、代表取締役を解任されています(その後、取締役も辞任)。吉村氏が解任されたのは、新銀行構想が独断で進められていたことが原因のようです。
上記の2つの例は、いずれも取締役会が代表取締役を引きずり下ろしたものですが、そもそも会社と言うのはどういう仕組みなっているかを確認しましょう。
会社の所有者(オーナー)は株主であり、最高意思決定機関は株主総会ということになります。
株主総会は、何でも決めることができますが、一々総会を開くのは手間過ぎて現実にそぐわないので、通常、取締役を選んで取締役会を構成します。政治で言うと、国政選挙で国会議員が選ばれているようなものですね。
さらに、取締役の中から業務執行をする代表取締役を一人ないし複数選びます。政治で言うと、国会議員から総理大臣を選ぶのに似ていますね。
このような会社の仕組みからわかることは、社長(代表取締役)がおかしなことをし始めた場合、取締役会で代表を解任する、あるいは株主総会で取締役自体を解任するということが考えられます。中小企業では、オーナー経営の会社が多く、株主と社長(代表取締役)が一致していることもしばしばみられるので、自分で自分を解任することになるのであまり例はありませんが、株主が最終的意思決定をできることは覚えておいてください。
また、社長(代表取締役)が違法な行為をしようとしている場合(会社に損害を与えるような場合)は、監査役が差止請求をすることができます。監査役は、裁判所のような役割を期待されているわけですね。
中小企業の場合、顧問税理士や知人が形だけ監査役になっていることも多いのですが、監査役に登記されている以上、法律上の責任が発生する場合があるので就任のときは注意してください。
いずれにせよ、中小企業では社長=株主であり周囲が暴走を止めにくいので、自分自身が、いつも自分を律することが大切ですね。