蔓延防止措置明けの注意点
ようやく蔓延防止措置も全国的に解除となりました。
3回目のワクチン接種も含めて、会社として社員にどう対応するか悩ましいところです。
最近では、コロナ対応を巡る裁判例も出始めていますのでご注意ください。
長かった蔓延防止措置も全国的にようやく解除になりましたね。コロナウイルスへの感染も注意しなくてはいけませんが、規制による社会活動や経済活動への影響も相当なもので、奈良や愛媛など蔓延防止措置の要請をしない知事も出るなど対応も分かれました。
会社としても、感染防止に努めながら会社を回して行かないといけないので、従業員への出勤要請や、ワクチン接種など神経を使う場面が続いていますね。
3回目のワクチン接種には賛否両論あるようですが、会社としての基本的対応を確認しておく必要があります。
まず、ワクチン接種は強制することはできないので、理由の如何を問わずワクチン接種しない従業員に、ワクチン接種した従業員より不利益な扱いをすることはできません。ワクチン接種しないと減給するとか、出勤を認めないなどと言う指示はアウトです。
逆に、従業員がワクチン接種のための休暇を求めてきても、会社として制度を設けていない限りは、有給休暇等で従業員には対応してもらう必要があります。
他方で、従業員がコロナウイルスへの感染を恐れて出勤をしたくないというケースがあります。この点について、コロナウイルス感染症が国内で問題になった一昨年春に、出勤を拒否した従業員への対応が問題となった裁判例が出始めました(裁判は、問題が起こった後に、数年経って判決になるので、そろそろ出始める頃なのです)。
簡単に結論だけ言うと、従業員からの請求は認められませんでした(この事案では、しばらくして在宅勤務は認められています)。コロナウイルス感染症が当初問題になった頃、感染経路もわからず通勤のリスクも不明であったことから、在宅勤務を要求できることについてまでは裁判所も認めなかったものです。ただし、緊急事態宣言や蔓延防止措置などにより、感染者数等の指標にもよりますが、在宅勤務を指示する義務が生じる可能性も残っているでしょう。また、正規社員と非正規社員(本件も派遣社員の事案)で区別を設けることができるのかどうかも今後の課題となります。
このように、依然として会社経営上の判断においては、コロナウイルス感染症にどう対応するかと言うのは重要な問題が残されています。
外部専門家にも相談しつつ、感染防止と会社経営を両立させる対応に努めましょう。