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会社の野球大会で怪我したら?(WBCを見て)

 WBCは日本の活躍もあり、無事終わりました。
高額年俸のメジャーリーガーが、ケガをしたら大変なことです。
皆さんの会社の運動会や懇親会中の怪我の場合はどうでしょうか?

 3月8日から2週間余りにわたって行われたWBC(ワールドベースボールクラシック)2023は、20か国が参加し、日本は見事優勝しました。今回の大会は、大谷翔平、ダルビッシュ有、ヌートバー、吉田正尚などメジャーリーガーも多数参加し、過去最高といってよい盛り上がりを見せましたね。日本の選手も佐々木朗希や山本由伸を始めとして海外勢に負けない活躍を見せました。

 そんな中、プエルトリコ対ドミニカの一戦で、プエルトリコの投手が右ひざの腱を断裂し、今シーズンの出場は絶望になってしまったのです。その投手は5年契約で約153億円(1年で30億円以上!)の契約だっただけに、本人も球団も目の前が真っ暗になったことと思います。この場合、契約していた年俸は0になってしまうのか、それとも球団が働かなくても1年30億円以上を払い続けるのでしょうか。WBCは、球団から見ると仕事ではなく、しかも本来は開幕に向けて調整中で怪我をしやすい時期だけに、余計に悩ましいところがあります。

 実際には、メジャーリーガーについては、本よりも分厚いと言われる詳細な契約書があり、シーズン中にけがをした場合はもとより、WBCに出場してよいかどうか、出場する場合の条件は何かなどが詳細に定められています。さすが契約社会米国ですが、契約にしたがって153億円がどうなるかが今後定められることになります。もっとも、球団としても戦力を失うことになるので、給料を払わなくてよいかどうかで済む問題ではなく、戦力ダウンをどうやって補うかという問題があります。

 さて、メジャーリーガーとは言いませんが、最近は日本の企業でも社内運動会などが見直されてきています。実際に運動会を開催して、従業員がアキレス腱を切ってしまって3か月入院になってしまった場合を考えてみましょう。会社の運動会だったので、会社は給料を払わないといけないのでしょうか。また、労災が適用され休業補償がなされるのでしょうか。労務の提供ができないので給料の支払義務はありませんが、労災に該当するかどうかは微妙です。

 全社員参加が強制される(出勤日とカウントされ、給料も支払われる)と言うことであれば、業務中ということになるので、業務である競技参加中にけがをしたと言うことになれば、労災の適用対象になることになります。これに対し、運動会が自由参加であれば、業務ではないので労災適用対象外となります。しかし、この場合も会社側としては従業員の怪我の可能性を考慮し、損害保険に加入しておくのが望ましいことは言うまでもありません。  

以上

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