貴乃花親方の理事解任を法的に斬る
ここ数カ月、見飽きるくらいにTV等で報道されている。大相撲の暴行問題。
テレビのコメンテーターはいろんなことを言っていますが、これを法律的にみると…?
暴行問題によって,加害者とされる日馬富士関は、引退に追い込まれ、略式裁判で罰金50万円という刑事処分を受けました。
法律的には、これ以外に被害者との損害賠償の問題があります。
被害者とされる貴ノ岩関の休場の原因が暴行にあるとしたら、休業損害がかなり大きな金額になるようにも思われます。
被害者とされる貴ノ岩関の様子がわからないので何とも言えないのですが、どこまでの請求ができるかは興味深いものがあります。
ところで、最近の報道は、被害者側の親方である貴乃花親方と相撲協会の対立へと移っているようです。
1月4日の評議員会で、貴乃花親方の理事降格が正式に決まりました。
相撲協会では、親方の間で選ばれる理事からなる理事会を、外部から選ばれる評議員会が監督するという形を取っており、他の社団や財団も基本的に同じような形式で、運営(ガバナンス)がなされています。
今回は、理事であった貴乃花親方を評議員会が解任して、理事から降格させたのです。
これに対し、貴乃花親方が裁判所に不服申し立てすることは考えられるのでしょうか。
実は、このような組織内部のもめごとが裁判所に持ち込まれる例は結構多いのです。会社、宗教団体、学校などたくさんの裁判例があります。
しかし、基本的には裁判所がこのような内部のもめごとに介入することはありません。
組織には組織のルールがありますから、それを尊重するというのが自由な社会では当然のことだからです。
今回の貴乃花親方が、もし裁判所に訴えて出ても、おそらく裁判所は相手にしてくれないでしょう。
これがもし、親方の地位を失うとかそういう大きな不利益を伴うものであれば、裁判所もどちらが正しいのかをじっくり判断することになると思いますが、理事の地位を失わせるということは、裁判所も、相撲協会で決めてよというスタンスになります。
なお、相撲協会の理事選は2月にありますから、貴乃花親方の不利益も実質2か月内ということも、考慮される要素になるでしょう。
私たちも、組織内部のことに関するトラブルは組織内でのルールが原則的に適用されることを意識し、社内規定等の整備に励んでいきたいものです。
また、本件では、貴乃花親方の説明責任が問題になっていますので、いずれまた説明責任については、本メルマガに書きたいと思います。