遺産分割・登記はお早めに
所有者不明土地の解消に向けて法制度を整えることがずっと議論されてきましたが、今年の4月に、「民法等の一部を改正する法律」「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立しました。
以前の記事「実家の相続を放置したら罰金?」でもお伝えしましたとおり、所有者不明土地の解消のため、相続登記の義務化が議論されてきました。
2018年の相続法大改正の際にも、相続による権利の承継は、法定相続分を超える部分については、登記をしなければ、第三者に対抗できないと新たに定められ、相続登記を促す方向に法整備が進んでいます。
さらに、今年の4月に成立した改正法では、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない」とし、3年以内の登記を義務化しました。以前の記事では、「3ヵ月」とお伝えしましたが、そこまで短期間にはならなかったようです。しかし、3年もそれほど長いとはいえませんよね。義務違反の場合は、10万円以下の過料という罰則がありますので、注意が必要です。
加えて、遺産分割を行う時期についても、注意すべき改正があります。相続開始の時から10年を経過すると、特別受益、寄与分の適用がないことになりました。相続人のうち誰かが多額の生前贈与を受けているケース、家業や介護で被相続人に貢献したケースなどでは分割を急ぐ必要があります。10年というと長く感じますが、実務上は父親が亡くなった後も母親が健在の間は何も手続しない、というご家庭が非常に多くみられます。相続税の納税がない場合は特にそうなりがちですし、父親が亡くなった当時はしっかりしていた母親が、5年、10年と経つと認知症となり、今更分割できないという状況に陥ります。そうなる前に、きちんと遺産分割、登記手続をしておきましょう。