相続で揉めるパターン2 不動産編
不動産は、伝統的に価値のある資産です
うまく利用したり処分すれば、評価以上の価値が出ることもあります
相続人の意見が一致しないと、なかなか利用も処分も決まりません
雨が降って土砂崩れが起こり、家が流されます。どうしてあの場所に家を建てているのだろうと思ったことはありませんか。日本は平地が少なく家を建てられる土地はどうしても高い値段になるので、もともとは家を建てるのに適していない場所に家が建てられることも少なくありません。開発業者も、いい場所から順番に開発するのでどうしても山間の傾斜地などは後になって開発され、かつ、開発費用も掛かるので手抜き工事が起こる可能性も高まります。
それでも開発が続くのは、日本人が不動産大好きだからです。「持家信仰」と呼ばれるほど、日本人は自分の家を買うことに夢中になってきました。不動産は買えば値段が上がるので、マンション⇒戸建てへと住み替えることは、住宅すごろくと呼ばれました。
このため、相続が発生した場合、自宅や、事業を行っている方なら事業用の土地など、不動産が相続に絡んでくることが非常に多くみられます。
まず、自宅の相続を巡る問題について考えてみましょう。
平均年齢の順番で亡くなると、最初に父が亡くなり、母と子どもたちが相続人となります。自宅の購入は、ローンの審査の関係で父になっていることが多いでしょう。そうすると、母が2分の1を相続し、子どもたちが残りの2分の1を頭割で相続します。子どもたちが全員家を出ている場合、自宅には母一人が住むことになりますが、子どもの中に母と不仲なものがいると、相続分を現金でもらいたいと言い出すかもわかりません。
最初に問題になるのは自宅をいくらと評価するかということです。相続税の評価に際して土地は路線価で評価したり、小規模宅地の特例で評価を下げることができます。しかし、相続人の間で、遺産としての自宅を評価するときには「時価」をもって評価することになります。と言っても、不動産は一つ一つ異なっており、全く同じ物はありませんから、一体いくらとみるのが良いのか激しく対立することも少なくありません。
実際に売ることができれば、「売却価格」=「時価」となりますが、実際に住んでいる人がいると、試しに売るなどということもできませんから、結局、何らかの形で評価を行うしかありません。
過去に経験したところでは、マンションについて大手不動産業者の査定を6件取って、最も高い価格と最も低い価格を除く4件の査定の平均を取ってみたことがあります。できるだけ公正にということでしたが、比較的市場性が高く価格の査定がしやすいマンションですら、各社(それも大手)の評価にはかなりの差が見られました。
しかも、この件では、当事者の一方がこの結論に納得しなかったので。さて、困りました。