相続でよく揉めるパターン1預金編第2回
預金は、通帳には履歴が残ります。
出金された後は、現金なので何に使ったかわかりません。
使ったお金は領収証を、そして、メモも残しましょう。
前回は、預金を巡って相続で揉めやすいこと、相続では資料が残っていないことが多くて揉めた場合に泥沼化しやすいことをお話しました。
今回は、どうすれば紛争が予防できるのか、早期に解決できるのかについてお話したいと思います。
まず、被相続人である親が高齢化してくるときの問題です。年齢とともにだんだんと認知能力や判断力が低下していくことは、振り込め詐欺が年間1万4000件、1日あたり40件近く起こっていることからもおわかり頂けると思います(びっくりしますね)。
高齢者については、振り込め詐欺の防止の観点からも、サポートする存在が必要ですが、法律的には後見制度などがあるものの手続の煩雑さからあまり利用されていません。必然的に、子どもたちの中で一番身近な存在が、預金の出し入れを手伝うようになります。やがて、体力的にも弱ってきた高齢者は入出金そのものを子どもに任せることになりますが、ここで問題が生じます。
一つは、お金に困っている子どもが親の預金をどんどん引き出してしまうことです。こちらは、法律的には窃盗や横領にあたるもので、後から、他の兄弟に請求をされますが、返すお金がないということになるのが結論ということが良くあります。親のお金は親のものですので、勝手に引き出してはいけません。逆に、他の兄弟もお金のことですからきちんと様子を確認することが必要です。そして、勝手に預金を引き出すことは親の世話を誰か人に任せてしまっているからであり、兄弟みんなで親の面倒を分担し合う気持ちが大切になります。少し話が脱線しますが、相続で揉めることが多いのは、兄弟間に不公平感がある場合が多いです。お母さんはお兄ちゃんばかりかわいがったとか、人の気持ちって難しいものがあるので、公平さを保つのか、それとも遺言等ではっきりしておくなどが必要になります。
逆に言うと、親の面倒を誰か一人に任せてしまうと、その人がお金をたくさん使ってしまったとしても、仕方がないとあきらめるくらいの気持ちが必要になります。お金は欲しい、でも、親の世話はしたくないというような都合のいい話はなかなかないと思っておいてください。 もう一つは、親に頼まれてお金を引き出していたものの、親に現金を渡したかどうか証拠がないというものです。確かに渡しましたという主張は非常に多いのですが、他の兄弟からみると、勝手に引き出したのか区別が付きません。字数の関係で次回に続きます。