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取締役は従業員?

従業員を取締役にすることがあります。
取締役と従業員は、本来別です。
実際には、従業員であり、取締役である場合があり、注意が必要です。

名刺を交換したとき、相手の肩書を見ますよね。社長、会長、顧問など仰々しい肩書が書いてあることが良くあります。なかには、CEOとかファウンダーとかよくわからないものもあります。そう言えば、米国などではヴァイスプレジデントという肩書がよくあるのですが、日本語に直訳すると副社長になるものの、実際にはNo2ではなくたくさんヴァイスプレジデントがいるという話もあります。世界中どこの国に行っても、肩書を気にするのは同様のようです。

さて、法律的には、社長や会長という言葉はどこにもでてきません。取締役、代表取締役など幾つかの言葉があるだけです。部長や課長も法律には書いてありませんね。

取締役と従業員は、法律的には全く異なるものです。

取締役は会社と委任関係にあり、取締役と会社との関係は対等です。これに対し、従業員と会社は雇用関係にあり、取締役と会社は、指揮命令関係にあります。つまり、上下関係がそこにはあるということです。

したがって、従業員は会社の命令に従わないといけないが、取締役は会社の意見に従わず取締役会で意見を述べることができる、従業員は時間的場所的拘束があるが、取締役には原則としてない、従業員は会社から懲戒を受けることも有るが、取締役は委任契約が解消される以外の懲戒はないなどの違いがあります。

ぶっちゃけ、取締役は自由で、従業員は不自由ですが、取締役は任期が終わればお払い箱(再任はある)なものの、従業員はよほどのことがない限り解雇されることはありませんから、身分保障にも本質的な違いがあります。

取締役と従業員は、質的に異なるのですが、取締役の数を3名以上確保したい中小企業では、従業員の中の古株を取締役に選任するケースがしばしばあります。

そして、問題になるのは、その人物を辞めさせたいときです。

取締役であれば2年間などの任期満了で当然に退任してもらいますが、従業員であれば定年まで雇用しないといけないからです。この場合、登記簿上取締役であるからと言って、取締役として対応するのはリスクがあります。裁判所は、実質を見て取締役かどうかを判断しますし、日本には実質従業員なのに取締役として登記されている例が多いこともよく知っています。

したがって、取締役である従業員のように、法律上問題が生じうる虞のある場合には、処分について、法律の専門家によく相談するようにしてください。

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