今年の法務トピック
日本経済新聞で、弁護士が注目する2020年の案件が発表されました。
国内では同一労働同一賃金をめぐる最高裁判決が注目度トップです。
民法や、個人情報保護法の改正等重要法令の改正も相次ぎました。
毎年12月になると、一年を振り返るまとめのような企画が多くなりますね。
日本経済新聞では、毎年今頃に「弁護士が注目する2020年の案件」というテーマで弁護士向けのアンケートを行い、企業法務関係のトピックスを特集しています。
国内の法律関係の第一位は、同一労働同一賃金(4月)/非正規格差訴訟の最高裁判決(10月)の一連の最高裁判所の判決が第一位となっていました。
ご存じのとおり、正社員以外の契約社員、パート、派遣、アルバイト、定年後の再雇用など様々な働き方が増えるに連れて、正社員との待遇の違いについて、トラブルや裁判が増加しています。最高裁判所の判決以降も、同一労働同一賃金の問題について全てが明らかになったわけではなく、来年以降もどのような処遇であれば法律に違反しないのか、企業にとっては難しい判断が迫られる場面が続くことと思います。
日本の社会構造自体が終身雇用制度の終了とともに変化している以上、今後もトラブルが増えることが予想されていることから、弁護士の注目度が高かったものと思われます。
第二位は、改正民法の施行が選ばれました。本来であれば、第一位になってもおかしくない話題ですが、ちょうど施行日である4月1日は、新型コロナウイルス感染症の第一波が襲ってきており、緊急事態宣言の発令が議論されている等世の中がコロナ一色だったため、新しい民法も静かな船出となりました。
しかし、新しい民法は、100年以上のときを超えて大幅に改正したものであり、その重要性は疑うこともできません。実務への影響もとても大きなものであります。日常の相談の中でも、保証人への極度額の設定が抜けたままの書式を用いている会社もあるなど、法律上無効になってしまうものもまだまだあります。新しい民法による裁判が増えてくるのは、今年4月1日以降のものですから、来年以降徐々に増えてきますが、今一度、新しい民法への対応ができているかどうか見直す必要がありますね。
ちなみに、第三位以下の順位は、以下のとおりとなっていますので、興味のある方は直接記事を読んでみてください。
第三位、改正個人情報保護法の成立(6月)
第四位 改正外為法の施行(5月) 第五位 地銀統合・合併について独占禁止法の適用除外とする特例法施行(11月)