遺留分侵害額を減らす方法~相続法改正を前提として~
特定の相続人に全財産を相続させた場合など、他の相続人から遺留分を侵害されたとして請求を受けることがあります。
遺留分侵害額を減らすための方法としては何があるのでしょうか。
突き詰めていくと、遺留分の計算は非常に難しく、普段、難しい計算をすることなく仕事をしている弁護士からすると、難解な計算に「うっ」となることがあります。
ざっくりとした説明となりますが、「遺留分を算定するための財産の価額」に、直系尊属(親など)のみが相続人の場合には、3分の1、それ以外の場合には2分の1をかけた金額が、遺留分となり、そこから遺留分侵害額(実際に払う金額)が算定されます。
(なお、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、相続人が兄弟姉妹だけの場合には、遺言で指定していれば、その通りに相続させることができます)
そのため、遺留分侵害額を減らすためには、「遺留分を算定するための財産の価額」をできるだけ減らすことが大切になります。
その方法としては、
①相続人以外に贈与する。
(相続人以外に対する贈与の場合には、死亡する1年以内の贈与のみ「遺留分を算定するための財産の価額」に算入されるため)
②相続人に贈与する場合には、できるだけ早く贈与する。
(相続人に対する贈与の場合には、死亡する10年以内の特別受益が「遺留分を算定するための財産の価額」に算入されるため)
ということが考えられます。
※下線部は法改正により新たに加えられた制限です。
ただし、「当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って行った贈与」の場合などには、適用されませんので、注意が必要です。
遺留分についてご心配なことがあれば、できるだけ早く、弁護士にご相談ください。