売掛金を損金処理する
貸借対照表の流動資産の売掛金が不良債権化し得ることがあります
損金処理には、通達に従った処理が必要です
場合によっては弁護士の意見書が有効なこともあります
現金と商品がその場で交換される小規模な商売を除いて、どんな会社でも、売掛金が発生しない商売はありません。
貸借対照表の売掛金の欄が0であることは考えられないということです。
売掛金は、買手に対する信用を示すものですから、買手に万一倒産などの事実が発生すると売掛金を損金処理することになります。
破産などの法律に従った倒産なら、比較的悩みは少ないのですが、ずるずると支払いが遅れて不良債権になってしまい、最後には相手が夜逃げ同然になってしまって、どうしようもなくなって、ほったらかしているというケースも、まま見られることです。
いっそのこと、回収不能として損金処理することで、少しでも税金を安くしたいところですが、なんでもかんでも、損金処理できるとするといろいろ悪知恵の働く人も出てきそうなところですから、一定の場合にだけ損金処理が認められています。
その基準については国税庁の通達があるのですが、さらに問題になるのは、その通達に該当しているのかどうかということがあるのです。
通達については一度見て頂きたいのですが、もっともよく議論になるのが、回収不能となったときの損金処理が認められるのかどうかです。
通常、回収不能を判断するためには、判決などの債務名義(差押えをするための公的な書類)を取ったうえで、実際に差押えをしてみるということが必要です。
ただし、実際に判決を取ってから差押をするまでは相当の時間がかかりますし、さらにいうと、弁護士費用も馬鹿になりません。
弁護士の費用が原則として請求額を基準とするので(ただし、交渉は可能)、そもそも回収できない売掛金のために、どうしてこんなに費用がかかるのか、盗人に追い銭みたいなものじゃないかと怒る経営者の方もいらっしゃいます。
もちろん費用対効果が悪すぎると、それはそれでまた損金処理できる通達があるのですが、費用対効果が悪すぎるといえるかには、依然として議論が残り得るところです。
そこで、顧問弁護士等に相談して、損金処理の対象債権に該当するということについて意見書を書いてもらうという方法があります。
この方法は何でもかんでも使えるわけではありませんし、意見書の内容にもきちんとしたものが求められますが、今期中に損金として落としてしまいたいけど時間がないとか、そもそも何の債権かよくわからなくて裁判できないという時などに有効です。
弁護士の有効な利用法として覚えておかれると良いかと思います。