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仮差押えの留意点

売掛金を支払ってもらえないときには、裁判をして勝訴判決を得た上で、強制執行を申し立てるというのが基本です。
しかし、訴訟提起から勝訴判決を得るまでには、一定の時間がかかり、その間に売掛先の財産状況が悪化してしまうかもしれません。
その心配があるということで、訴訟提起前に、仮差押えができませんか、というご相談を受けることがよくありますので、留意点をまとめてみました。

1 対象の特定

仮差押えの申立てをする際には、対象となるもの(目的物)を特定しなければなりません。
たとえば、●●銀行××支店の預金(口座番号までは不要)とか、A社に対し◯◯を販売した売買代金債権とか、どこどこの土地、などです。
したがってまず、売掛先がどこに財産を持っているのかを調査する必要があります。

2 売掛金の疎明

仮差押えは、まだ裁判で債権(被保全権利といいます)の存否が確定していないにもかかわらず、債務者の財産の処分を制限するものです。
したがって、被保全権利=売掛金の存在について、疎明をしなければなりません。
取引基本契約書、注文書・注文請書、納品書、請求書といった書類が揃っていれば問題ありませんが、請求書しかないようなケースだと、ハードルは高いといえます。

3 保全の必要性の疎明

仮差押えについては、「強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生じるおそれがあるとき」という保全の必要性が求められます。
単に「支払ってくれない」というだけでは足りず、具体的な事情を疎明しなければなりません。
また、たとえば売掛金や預金の仮差押えを受けると、債務者の信用が低下することになって、その後の事業などにも影響が出かねません。
そこで実務上は、このような債権の仮差押えの申立てをするにあたり、不動産の調査が必要とされることが多いです。
事業所などの不動産の仮差押えを受けても、債務者の受ける不利益の程度は小さいと考えられているからです。不動産があるにもかかわらず、債権の仮差押えを申し立てる場合は、不動産の仮差押えではダメな理由について、説明を求められることになります。

4 担保

仮差押えにあたっては、担保を提供しなくてはなりません。
具体的には、仮差押えの目的物の価格(または、被保全権利の価格)に対して1割から3割とされることが多く、これを法務局に供託します。
この担保は、訴訟に勝訴すれば一定の手続を経て戻ってくるものではありますが、逆に言えばその間、資金が凍結されることになります。
仮差押えについてご相談をお受けした際にも、担保についてご説明すると、「それはちょっと・・・」と手続を躊躇される方も多いです。

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