仮眠や休憩も勤務時間?
北九州市が、宿直中の仮眠も労働時間として未払賃金5300万円を払いました。
仮眠や休憩も、勤務時間とみなされる場合があります。
勤務時間とそれ以外の区別を明確にしましょう。
世の中には、長時間の営業や24時間体制で業務を行う会社がたくさんあります。
例えば、裁判所でも、夜間に逮捕状や勾留状を作るために裁判官が交替で宿直業務を行っています(かつては、裁判所に宿直の部屋がありましたが、最近では自宅にパトロールカーで警察の方が来てくれます。少し近所迷惑)。
夜間の業務は、コンビニエンスストアなどではひっきりなしに来客がありますが、中には来るか来ないかわからないけど、来たら対応しないといけない業務もあります。
市役所の窓口業務もその一つですが、北九州市では、嘱託職員の宿直業務で仮眠の時間を労働時間から除いていましたが、問い合わせがあった場合などは仮眠中でも対応していたことから、勤務時間に含めて考えるべきだと労働基準監督署の指摘を受けました。
北九州市は、指摘を受けて、26人の2年分(法律で遡れることが定められている)の未払賃金として仮眠時間中の給与合計5300万円を支払いました。
北九州市は、人口90万人を超える政令指定都市ですから、5300万円の支払ができましたが、一人当たり200万円を超える未払給与を、いきなり現金で払えと言われると、たちまち資金繰りに窮してしまう会社の方が多いのではないでしょうか。
勤務時間中に、仮眠や休憩の時間を挟んでいる会社は多いと思いますが、仮眠や休憩について、勤務時間と明確に区別がなされ、仮眠や休憩中は一切仕事をしないということが明らかでない限り、勤務時間とみなされ給与が発生します。
この区別については、労働基準監督署及び裁判所は、非常に厳格な姿勢を示していますので、会社側が区別をしていたという主張をしても、完全ではない場合、勤務時間だと言われてしまい泣く泣く未払給与を支払うというケースは後を絶ちません。
自分の会社は大丈夫だと思わず、甘くなりがちな自己評価だけでなく、社会保険労務士や弁護士などの専門家に一度相談をして、未払給与の時限爆弾が破裂しないかどうかを確認してみてはどうでしょうか。
保険に入るよりも手ごろな金額で、発生する可能性が高いリスクを管理することができると思います。