台風で関空連絡橋にぶつかったタンカーの責任は?
台風21号は近畿地方に甚大な被害をもたらしました。
強い風で物が飛ばされ、あちらこちらでトラブルになっています。
責任の所在について、関空連絡橋にぶつかったタンカーの責任を検討します。
近畿地方を直撃した台風21号は、ここ数年の台風では最も大きな被害をもたらしました。
街路樹が根元から折れて飛んでいたり、古い建物がぺしゃんこに潰れていたり、信号が90度横を向いていて赤と青が同時に光っていたりと大変な状況でした。
最初のうちは驚いて写真を撮っていましたが、余りにも写真の対象になる光景が多過ぎて、途中から諦めました。
瓦や看板、ビルの屋根の一部が飛んだり、壁の崩落、自動販売機が隣のコインパーキングを破壊など、たくさんのトラブルが起こっています。
今後訴訟になる案件も出そうですが、なかでも日本中のお茶の間をくぎ付けにした関空連絡橋へのタンカーの衝突は驚きました。
タンカーは、関空会社やJR,南海、阪神高速道路公団などに対して賠償責任を負うのでしょうか。
明らかになっているところでは、タンカーは、関空の飛行機用ガソリンをタンクに給油し、引き上げの途中で台風から避難を図り、強風で流されたようです。
さらに、避難場所については、関空会社からの指示があったという情報もあります。
少しややこしくなりますが、場合分けして説明します。
関空会社の指示が悪かった場合、基本的に関空会社がタンカー会社に賠償責任を負います。ただし、タンカー会社も海運業者という専門家として判断にミスがなかったかが問われます。
関空会社の指示は悪くない場合、タンカー会社の停泊場所やアンカリングの不十分さがあれば、タンカー会社が責任を負います。
難しいのは、関空会社の指示も正しかったし、タンカー会社の処置も正しかったが、それでも台風21号のパワーが、人間の判断力を上回った場合です。いわゆる不可抗力の問題になり、各自の損害は各自が負担することになります。
ただし、不可抗力の認定については、裁判所は極めて慎重です。
今回も、なぜ一隻だけ連絡橋に衝突したのか、避けられないとまで言えるのかについて、かなり激論になると思います。
なお、問題の難しいところは、台風のような自然災害を保険がカバーしていないことが多いことです。
さらに、今回タンカー会社が責任を負うとなると、関空の営業休止に伴う関係者の損害賠償が莫大なだけに、保険金額の上限を超えてしまう可能性があることです。 今後のケースは天災における責任問題について改めて考えさせられるものでした。