メルマガ Mail magazine

相続法が改正されました-3

本メールマガジン33号で、配偶者の居住権の保護についてお伝えしましたが、今回の相続法改正では、もうひとつ配偶者の保護を目的とした改正が行われています。

今回はその内容についてお知らせします。

今回の改正で新しく、次のような規定が設けられました。 

① 婚姻期間が20年以上の夫婦の一方が、他方に対し、

② その居住用建物または敷地を遺贈・贈与したときに、

③ その遺贈・贈与について特別受益の持戻しを免除する意思表示があったと推定する

①②をご覧になって、相続税にお詳しい読者の方は、贈与税の特例制度を連想されたのではないでしょうか。

持戻し免除の推定では遺贈も対象となっている点で、範囲が拡大されていますし、逆に贈与税の特例制度では居住用不動産の取得のための金銭贈与も対象になりますから、適用範囲は全く同じというわけではありません。

③について補足しますと、通常、相続人の一部が遺贈や贈与などを受けていた場合には、「特別受益」としてこれを相続分の計算上考慮することになります。

これを持戻しと呼んでいます。

ただし被相続人が免除した場合には、持戻しはしません。

上記の改正は、持戻しを免除する意思表示があったと推定することで、結果として、配偶者の取り分を多くするものです。

実は、改正の議論の過程で、そもそも配偶者の相続分を引き上げるという案もありました。

しかし、夫婦関係や、財産形成への配偶者の貢献度は様々であり、一律に配偶者の相続分を引き上げることは相当ではない、などの反対意見が相次ぎ、この案は断念されました。

個人的には、配偶者の保護制度が「持ち家」に偏っていることにかすかな違和感を覚えますが、持ち家不動産が遺産の大部分を占める、というケースで相続トラブルになる例が、それだけ多いということなのでしょうね。

関連記事

2022.05.16

最高裁は、生前の不動産購入による相続税節税スキームについて「待った!」をかけました。

 令和4年4月19日、最高裁判所は、不動産の相続税について、評価通達が定める算定方法(路線価など)に基づき評価を…

2018.04.02

民事信託は魔法の杖なのか?

信託が、高齢化社会における認知症対策の手法として普及しつつあります。親が認知症になった場合に、成年後見は使いにく…

2018.08.27

相続法が改正されました-2

前号では、自筆証書遺言の要件についてお伝えしました。 今回の相続法改正では、この遺言書作成についても改正が行われ…

PAGE TOP

COPYRIGHT © SHINWA LAW OFFICE ALL RIGHTS RESERVED.