アディーレ法律事務所の懲戒処分について思うこと
弁護士法人「アディーレ法律事務所」の広告が景品表示法違反(有利誤認)にあたることなどを理由に東京弁護士会は業務停止処分を決めました。
弁護士法人アディーレ法律事務所は、平成22年10月以降、インターネットに
「約1カ月ごとの期間限定で過払い金返還請求の着手金を無料または割引にするなどとするキャンペーン」を
実際にはは約4年10か月にわたり繰り返して広告してきたことを理由に,東京弁護士会から懲戒処分を受けました。
弁護士法人については業務停止2カ月、元代表弁護士については同3カ月の処分とされています。
この懲戒処分が重いかどうかの議論はおいておくとして、突然の業務停止処分によって、アディーレ法律事務所に依頼していた依頼者は、突然、委任契約を解除されることになり、現在、大きな混乱が起きているようです。
インターネットでは、
「1か月だけ無料キャンペーンをずっと続けている会社なんてたくさんある」
「依頼者が納得しているなら、別にいいんじゃない」との意見も見られました。
そこで、今日は、なぜ「不当表示」がいけないかについて考えてみたいと思います。
皆様も、「期間限定」「今だけ!」などのあおり文句につられて、物を購入したことは、一度ならずあるはずです。
(我が家には、期間限定チョコレートやアイスクリームが溢れています)
そのような表示でつい商品を購入してしまうのは、「今買わないと損だ!」と思ってしまうからです。
ところが、本当に期間限定の商品以外にも「期間限定!」との広告がなされていればどうでしょう。
どれが本当の期間限定商品で、どれがそうでないのかわからず、消費者は合理的な判断ができなくなります。
また、いつも1000円で売っているものに、「定価2000円(50%オフ、今だけ1000円)」との記載があれば、同じ商品でも、ついついそのような表示がなされているものを購入してしまうかと思います。
しかし、そうすると、きちんと1000円の価値のものを1000円と表示している事業者の商品は売れなくなり、公正な取引を害することになります。
そのような趣旨から、不当表示は法律で規制されているのです。
法律の専門家である弁護士事務所が、法律違反を指摘されるとは、同じ弁護士としては恥ずかしい限りですが、これを機に私たちも再度、気を引き締めていきたいと考えています。