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飛行機でマスクを付けない客は断れる?

 マスクの着用を拒否する航空機の乗客に有罪判決がなされました。
 お客様の意向を尊重することは大切ですが、全てを聞く必要はありません。
 トラブルの際には、緊急対応ができるようにしておく必要があります。

 先日、飛行機の乗客がマスクの着用を断り、キャビンアテンダントと揉めて飛行機が緊急着陸したという件で、大阪地方裁判所が乗客に有罪判決を下しました(懲役2年、執行猶予4年)。

 乗客は、マスクの着用について信念として拒否していたようですが、日本の航空会社では乗客にマスクの着用を義務付ける約款(航空会社と乗客の契約の定め)になっているので、乗客がマスクの着用をどうしてもしないということになると、飛行機に乗ることを拒否、あるいは、降りてもらうことができます。法律的な結論は単純ですが、話の基本になるのでよく覚えておいてください。

 実際には、乗客に対していきなり降りろというのも角が立ちますから、航空会社では、マスクの着用を求めたり、座席の移動を求めたりといろいろ対応したようです。しかし、乗客がマスクをしないと言い張り、大きな声を上げてキャビンアテンダントを突飛ばしたりしたので、飛行機は緊急着陸して乗客は降りることになったようです。

 乗客の行為は、威力業務妨害罪、暴行罪などと認定されて、裁判所で有罪判決を受けたのですが、乗客はマスクは意味がないからマスクを強要するのはおかしいと言い張っていたようです。

 マスクの効果自体にはいろいろな考え方がありますが、約款でマスクの着用が義務付けられている以上、航空会社の対応には問題がなく、乗客側に問題があったことは間違いありません。勘違いしてはいけないことは、マスクの効果を議論することではなく、航空会社と乗客の契約(約款)に違反しているかどうかが問題だと言うことです。

 今回は極端な事例かもわかりませんが、お客様から理不尽な要求をされたり、因縁のようなことを言われたりすることは、しばしば相談を受けるところです。

 近年では、カスタマーハラスメント(顧客による嫌がらせ)として広く議論されるようになりましたが、理不尽な要求をしていると思われる顧客がいた時には、誰が、どのタイミングで、どのような対応をするのか、警察や弁護士への相談・通報はどのような手順で行うのかなど、予め社内でシミュレーションをしておくことが、実際に問題が起こったときに混乱しないポイントです。

 親切な社員ほど、クレームに丁寧に対応し、結果的に相手を付け上がらせて余計解決困難になったり、社員が精神的に参ってしまったりと言うことがあります。カスタマーハラスメントへの対応準備が不可欠な時代になってきています。

以上

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