貸倒を作らないために(おばあちゃんの遺言)
売上金を回収するまでに貸倒が生じると、利益が吹っ飛びます。
貸倒が生じないよう種々の工夫が必要です。
亡くなった祖母が、「いい人と付き合いなさい」と言っていたのを思い出します。
師走になると、会社は少しでも業績を良くしたいと営業マンに発破をかけ、営業マンはバタバタ走り回りながら、賞与の額を気にしてそわそわします。少しでもいい数字⇒いい賞与を目指して、無理に新しい取引先を開拓しようとしがちなのもこの時期です。
ところが、詐欺師たちも、新規取引先開拓に走る営業マンを陥れようと活動を活発化させる時期ですので注意が必要です。
彼らは、最初の1,2回は普通に取引を行って支払もするため、まさか詐欺とは思わず信用を得たあたりで、大口の注文を出してその支払をしません。会社に行くともぬけの殻ですし、登記簿から代表者の自宅を訪ねても居留守か夜逃げということになってしまいます。中には、がらんとしたオフィスでタバコをふかしながら、何しに来たと言わんばかりの顔で、営業マンをにらみつける輩もいます。
詐欺に引っかかったということで、警察に相談に行っても、詐欺の立証が難しいこともあり、相手にしてもらえないことがほとんどです(詐欺でニュースになる事例は、被害者が多数で、しかも消費者が被害者の場合がほとんどであり、ビジネス上のトラブルが詐欺として刑事事件になることはまずありません)。
もし、粗利10%の会社が、10の売上をしたと思って詐欺にあうと、10の貸倒が発生してしまいます。そうすると、10の損失を取り戻してとんとんに戻すためには新たに100の売上が、最初に考えていた1の利益を出すためには110の売上が必要になります(実際には販管費の問題があるので、もっと売上が必要です)。
新しい取引先とのビジネスの前には、信用調査や、基本契約書の作成、会社登記簿の取寄せと検討(これだけで結構怪しい会社はわかります)などを怠らないことが大切です。
そして、売上の数字が欲しい余りに取引を焦ってはいけません。
死んだおばあちゃんが、しばしば言い聞かせてくれた「ええ人と付き合いなさい、朱に交われば赤くなる。ええ人を近づけて、悪い人には近づかないようにしなさい」のを思い出します。おばあちゃんは、友人関係について語っていたのですが、ビジネスにおいても同じことが言えるのを改めて痛感します。 年の瀬にあたり、今一度、どんな取引先があるのか、新年以降どんな取引先とビジネスをしていくのか、今一度見直してみましょう。