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中小企業もチェック必須!下請法

 下請法上,資本金が1000万円を超えると「親事業者」となる可能性があり,また,資本金5000万円以下であれば「下請事業者」となる可能性があります。つまり,中小企業が取引を行う上で,下請法は避けて通れないものです。
 近年,労務費,あらゆるものの原材料価格,エネルギーコストが高騰を続けています。これをどのように取引価格に反映させるのか,各社が頭を悩ませているところだと思いますが,その際に下請法を意識しておくことが必要となります。

 令和4年1月26日,下請法ガイドラインが改正されました。今回の改正はいわゆる買いたたきに関するものです。具体的には,「原材料価格や労務費等のコストが大幅に上昇したため,下請事業者が単価引上げを求めたにもかかわらず,一方的に従来どおりに価格を据え置くこと」というものが,「労務費,原材料価格,エネルギーコスト等のコストが上昇したため,下請事業者が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず,価格転嫁をしない理由を書面,電子メール等で下請事業者に回答することなく,従来どおりに取引価格を据え置くこと」となりました。取引価格の据え置きが一切認められないというわけではないことを明らかにしたものです。また,「労務費,原材料価格,エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について,価格の交渉の場において明示的に協議することなく,従来どおりに取引価格を据え置くこと」も新たに付け加えられました。

 ところで,下請法違反は,書面調査を端緒に発覚することが圧倒的に多いと言われています。そのほかには,下請事業者からの申告などがあります。申告は匿名でも可能で,オンラインでも行うことができます。

 さらに,今般,公正取引委員会のホームページ上に,違反行為情報提供フォームが設置されました。違反行為情報提供フォームは,

  1. 親事業者の正式名称
  2. 親事業者の本社所在地
  3. 親事業者の業種
  4. 親事業者の行為

を入力して申告するだけというものです。ここで収集した買いたたきなどの違反行為についての情報は,調査先の選定などに活用されることとなっています。

 昨今のコスト上昇に伴う価格への転嫁について十分に協議ができているかどうか,親事業者,下請事業者ともに振り返り,買いたたきに該当すると疑われる場合は,申告などを検討してください。とくに親事業者の立場では,自発的に申し出た場合,勧告等を行わないという制度がありますので,この制度の利用を検討する必要があるでしょう。

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