社員が交通事故に遭ったら
弁護士への相談で一番身近なのが交通事故です。
昨年一年間で30万件を超える交通事故が起こっています。
業務中や通勤中の事故は、会社に責任が生じる場合があります。
令和3年の交通事故発生件数は、30万件を超えており(コロナの影響もあるのかかなり減少しています)、死者も2600人余りです。日本の人口をざっくり1億2000万人とすると、400人に一人が毎年事故に巻き込まれ、5万人に1人が亡くなっている計算となります。10年、20年と言うタイムスパンで考えると、かなりの数の人が事故に巻き込まれることになります。
特に業務中や通勤時の事故の場合、運転者だけでなく、雇主の会社まで責任を追及される場合があるので注意が必要です。会社の責任を使用者責任と法律の用語では言います。要するに、従業員に車乗らせて事業をしてるんだから、損害が出たら責任を取るようにと言うルールです。
交通事故を防ぐためには運転者への教育が第一なのですが、避けられない場合もあるので、交通事故に遭った場合の対応について予め考えておくことも必要になります。
まず、最初に大切なことは、相手の様子を確認することです。怪我をしている可能性があれば、原則として救急車を呼ぶことと応急手当てが必要になります。頭を打っている場合などは、本人が大丈夫と言っていても念のため病院に行って検査をしてもらう必要があります。確率は低いですが、脳に出血が見られると生命に関わることもあります。加害者も被害者も、動転しているので基本的なところを忘れがちになる点に注意が必要です。
次に、警察を呼ぶことが必要です。現場の交通整理や事故状況の現場保全等警察への連絡は警察なくしてはできないものがあります。また、相手方との折衝についても、第三者がいるほうがお互い感情的にならずに済む(特に現場)というメリットもあります。
3番目には、会社や家族など関係者への連絡です。保険会社ないし保険代理店への連絡も必要です。事故に遭った当事者は、動揺してどこへ連絡すればよいのかもわからなくなっているので、連絡を受けた人がきちんと確認してあげることが必要です。
最終的には、被害者であっても加害者であっても、交通事故と言う不運な出来事に巻き込まれたものとして、感情的になりがちなものを抑えて、冷静に対応することが必要です。会社は、従業員の側に立つものとして、加害者の側に立った場合は、被害者への謝罪に同行することも必要な場合があることも頭に入れておきましょう。
しばしば起こることではありませんが、発生時の重大性からすると慎重な対応が必要になるので、外部の弁護士等にも相談されながら進めましょう。