カスタマーハラスメント増加にご注意
コロナ禍以降、カスタマーハラスメントが大きく増加しています。
一般的な苦情とカスタマーハラスメントの線引きは難しいものがあります。
会社は、従業員の心身を守れる体制を作りましょう。
ある法律相談の話です。(相談者)「君の説明は納得がいかん、腹が立つ」、(弁護士)「お聞きした事実を基に見解を申し上げております」(相談者)「君に腹が立つ、腹が立つ、弁護士は依頼者の味方ではないのか、社会正義はどこへ行った」、(弁護士)「ご説明としては申し上げたとおりであり、耳の良いお話だけを申し上げることはできません」、(相談者)「もういい!弁護士会に文句言うわ(激怒)」。
一般の方からすると怖い、近寄り難いというイメージの弁護士への法律相談でも、実際に起こっている話です。不特定多数と接する小売業などでは、もっと激しく窓口の社員やアルバイトに詰め寄る客は多いことでしょう。いったん興奮すると怒りが収まらず、限度を超えた暴言や、無茶苦茶な請求をしてくる客に対し、現場は、お客様だからと我慢しがちなことも事実です。
しかし、度を越えたクレームには、ビシット立ち向かう必要があります。要求が妥当性を欠いたり、態度が社会通念上ふさわしくなかったりするクレームのことは、カスタマーハラスメントと呼ばれ、厚生労働省も問題にしています。ある調査によると、カスタマーハラスメントは、パワハラに次いで多く、セクハラを上回っているそうです。
特にコロナウイルス感染症で人との接触や外出が制限されていたこともあり、客側にもストレスが溜まっているのでしょうか、すぐ爆発する人が増えたという印象を企業も、相談を受ける側の弁護士も感じています。
しかし、実際には現場の対応にとどまっており、会社としてしっかりとした対策の方針を定めているところは意外に少ない印象があります。厚生労働省は、昨年、対策のマニュアルを公表しておりますので、経営者の方はまず読んでみる必要がありますね。
マニュアルには複数対応、相手の連絡先を聞く、社内の情報共有など基礎的なことが書かれていますが、現場の方は意外に知らないことも多いので、わかりやすく説明をする機会も必要ではないかと思います。
法律でも、カスタマーハラスメントの対応策を取るよう企業に求めており、対策を取っていないと、カスタマーハラスメントでうつ病になった従業員から、会社が訴えられる日が来ないとも限りません。一度、自身の会社、周りの会社ともに対策を見直してみましょう。
以上