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王子ネピアが下請法違反で勧告をうけました。

 去る2月15日に王子ネピア株式会社が、2月28日にサンデン株式会社が、公正取引委員会の勧告を受けました。下請法違反です。

 下請法は、下請取引の公正化・下請事業者の利益保護を目的として、親事業者の義務及び禁止事項等を定めています。

 禁止事項は、受領拒否の禁止、下請代金の支払い遅延の禁止、下請代金の減額の禁止、返品の禁止、買いたたきの禁止、購入・利用強制の禁止、報復措置の禁止、有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止、割引困難な手形の交付の禁止、不当な経済上の利益の提供要請の禁止、不当な給付内容の変更・やり直しの禁止です。

 また、サンデンは、その所有する金型等を用いて製造する部品等の発注を長期間行わないにもかかわらず、下請事業者61名に対し、合計4220型の金型等を無償で保管させ、下請事業者の利益を不当に害しました(不当な経済上の利益の提供要請に該当)。

公正取引委員会の勧告の内容は、①下請事業者に対し、無償で金型等を保管させたことによる費用に相当する額を公正取引委員会の確認を得た上で速やかに支払うこと、②取締役会の決議による確認(本件が下請法違反であること、今後自己のために経済上の利益を提供させることにより下請事業者の利益を不当に害さないこと)、③自社の発注担当者に対して金型等の適切な管理に特に留意した下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講ずること、④①から③の措置を自社の役員及び従業員に周知徹底すること、⑤①から④までの措置を取引先下請事業者に通知すること、⑥①から⑤までの措置を速やかに公正取引委員会に報告すること、です。

 下請法が禁止している事項は、日々の下請取引の中で起こりやすい、ありがちなものともいえます。日々、ご相談を受けている中で、下請法に違反するのではないかと思うケースも少なくなく、そのくらいいいじゃないか、あるいは、我慢しなければならないな、と判断する前に、ご遠慮なく、ご相談いただければ幸いです。       

以上

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